琵琶 双山敦郎 晴耕雨琵

琵琶プレーヤー双山敦郎のブログ

SOUL’d OUT

シーンの中にいるか

 

SOUL’d OUT
がトレンドに入ってるので、思い出して。

(スタバの新作ドリンクが売り切れだった、というのを

誰かが間違えてツイートしただけでしたが。)

 

「あのアーティストはシーンの中にいない」
という言い方をすることがあって、

ヒップホップが一つのブームになったときは
アイドルグループも、サビのあとにラップ風の歌詞が続いたりして

 

いわく要素だけを借りた、という意味で
シーンにいないとか、シーンから評価されていないとか、

 

これはおそらく全ての音楽ジャンルにあって
肯定的にも、否定的な文脈(こちらの方が多い)でも使われる。

 

そう言う意味で
SOUL’d OUT ほど誤解されたグループはなかったのでは。

 

世の常で、最初に注目されたジャンルで括られがちなのですが、

例えばマイケルジャクソンもオフザウォールまではダンスミュージックとして括られることもあったし、

宇多田ヒカルのデビューの頃も
R&B歌手として紹介されている記事やニュースが多かった。

 

マイケルジャクソンは、その後
スリラーで王道ポップスを
デンジャラスでラップやファンクを入れて、
スクリームではノイズを取り入れてと

オールジャンルのポップスターとして確立した。

 

宇多田ヒカルも、
二曲目のMovin' on without youからR&B歌手じゃないよ、と打ち出して
ポップのシンガーソングライターであるという評価を得た。

 

しかし、SOUL’d OUT
今でこそ、
洋楽ポップスと日本の歌謡曲をミックスした
ジャンルと時代を越えた類稀なミュージシャンという評価が妥当しますが、

当時はラップが上手すぎたり器用すぎたり売れすぎていて

 

当時のヒップホップシーンがこぞって「剥がし」にきたんですよね。

 

思い出すのが、
琵琶サークルの部室でSOUL’d OUTを聴いていたら
「先輩、何ダサいの聴いてんすか」とヒップホップフリークの後輩に言われたもんで。

でも当時の空気感ってまさにそれで。


SOUL’d OUTにとっては荒波立つアーバンナイトだったわけです。

 

でも、
マイケルジャクソンに、「お前はダンスミュージックじゃない」っていう批判が当てはまらないことと同じく
宇多田ヒカルに、「彼女はR&Bのシーンには居ない」という批判が当てはまらないと同じく、

 

SOUL’d OUTがヒップホップに収まるわけがなく、
それは大げさな話ではなく、
黙示録と共に研ぎ澄ます話で、

 

そういう意味では聴く側もシーンも無知だった。
悲運な。

 

それでもR指定みたいなSOUL’d OUTをきっかけに日本語ラップを始めた世代がSOUL’d OUTの再評価の波を作ってくれたのは嬉しい。

 

マイケルジャクソンも、
亡くなってThis is itから再ブームがきたので

今となってはピンときませんが、
デンジャラス以降、ずいぶんと「ダサい」と言われてしまう時期があった。

 

ニルバーナのドラムスのデイブグロールが
ライブでマイケルのステージ衣装っぽいのを着て
ファンにダセーとブーイングさせて盛り上げる、みたいな悪ノリをしたり。

 

汚いジーンズで無造作でそのまま歌うのがカッコいい、という新しい価値観の中で
金フンドシやスリラージャケットなどのステージ衣装で、

非日常を演出するスターだったマイケルは
当時は「古いミュージシャン像」の象徴でもあった。

 

転換期が、
マイケルジャクソンを聴いて育った世代
ジャスティン・ティンバーレイク
マイケルジャクソンのオマージュで再評価の波を作っていく。

 

つまりは、
R指定ジャスティン・ティンバーレイクが重なってくるわけですね。

 

 

まぁ、長々と書きましたが、
カッコいいものはカッコいいし、
必ずしもシーンに評価される必要はない、という話。

 

 

クリスタル糸巻き

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透明糸巻きの意味合い

 

今回の撮影には、新しいことを全部盛り込みたかったので


アクリル撥、七柱、カッタウェイ、ストラップ、と
盛り込んだのですが、

 

その中の一つがアクリル透明糸巻き


実は色付けがギリギリで、週末届いたものを早速使った。

 

さて、このアクリル糸巻き
琵琶史においてどんな文脈があるのか、

 

1.見た目
まずは見た目、楽器はなぜか透明になるのですよ笑。
ギターバイオリン三味線ピアノ
YOSHIKIのドラムは透明にすることで鳴らなくなるらしいのですが(関ジャム)
それでもやる。

 

私のヒーロー上妻宏光さんの三味線が青みがかった透明糸巻きで、憧れていたのです。

 

音質としては、
変わる。
もう少し聴き比べをしないとですが、思ったより変わりますね。


単に5本糸巻きを変えると全体の重量の比率の中でも変わるので
糸巻きだから変わったのか、比重が変わったから変わったのか。

 

なので、全部アクリルよりも何本かだけもよいのでは、と。
キカイダーのような、人間部分残ってる感じが笑。

 

2.新素材であること
象牙レスもそうですが、邦楽器に新素材を試していくキャンペーン実施中なので、
新素材としての意味あい。

 

三宅島の桑も、大きな柘植も、誰もが手に入れられるわけではない。
そのための新素材ですね。

 

3.鶴田先生のやりそうなことを全部やる


これも人生の目標で、

 

松本人志さんが『遺書』で
新しいことやろうとすると「それビートたけしがやってた」と言われた
と書いてましたが。

 

その世界では、「新しいこと全部先にやってる人」というのが必ずいまして、
スノボのショーンホワイトだったり、
中国琵琶での劉天華だったり、

 

琵琶だと鶴田錦史先生が
プラスチック撥、エレキ琵琶、エフェクト、立奏、オケ、現代音楽、菊水柱

 

立奏だけは、構想だけだったので、
実現は私なのですが(ここ試験に出ます)、

その文脈での新素材糸巻き

 

 

とまぁ、色んな文脈でのアクリル糸巻きですね。

 

いや、別に
「カッコいーじゃーん」でよいのですが
琵琶史の中の位置づけとか音楽としての意味合いを一回考えないと収まらない症候群でして笑。

ドラマの演奏指導

演奏指導

 

というわけで、
あるドラマのシーンのために

琵琶の演奏動作を教えてきました。

 

この「当てぶり」のやり方を教える、という
脳の使い方がいつもと違う。

 

琵琶を教えるときは
それこそ単音の打弦だけ2週間させて、
次はトレモロで、と段階を追っていくのですが


楽器の練習ではなく、
「弾いてる風な動作」の練習

 

それを教える経験がないので、なんとも手探りで。

 

気がついたんですが、当てぶりって楽器によって難易度が違いますよね。

 

意外とピアノは楽で、
そもそも表情と指を同時に映せない楽器なので、

ピアノ側から表情みえるようなショットにして
音楽にあわせて身体を揺らしたり表情作ればよいですし、

鍵盤を映す真上からの手のショットは、同じドレス着たピアニストで誤魔化せる。

 

尺八とかも、
指をできるだけ合わせつつも、首を揺らすぐらい、でしょうか。

 

ディジュリドゥや鼻笛、ハンドフルートなど

指使いのない楽器は更に当てぶりとしては楽なんでしょうか。

 

ギター系は割と難しく、
バッキングはタイミングを合わせればよいですが、
ソロの指とフレットを合わせるのは、
ネックに寄ったショットにして、ギタリストに替えるとか。
その意味ではマイケルJフォックスの当てぶりは最高に上手かった。(というか、彼は普通にギターが上手いのだけど)。

 

琵琶は更に難しいというか、
ギターのようにストラップを低く持たないので、
ネックが顔に近い。
つまりは、相当寄るか、相当遠景にするか、
誤魔化しが難しい。

 

ということで、
できる限り、リアルな当てぶりを習得してもらうのですが、

ギター経験もあって勘もよく、
見るみるうちに習得して、礼儀もよいですし、なんだか気持ちのいい青年だった。

 

これをきっかけに琵琶に興味をもってくれるとよいなと願いつつ。

琵琶のステージパフォーマンスの研究

マイケルJファックス

 

ひょんな縁で、琵琶の当てぶりを指導することに。

当てぶり、とは

音に合わせて、弾いてる演技をするのとですね。

 

そしてエレキギターのように、派手に弾きまくってる図が欲しいらしい。

バックトゥザフューチャーのマイケルJフォックスが
ジョニービーグッドを弾いたようなイメージでしょうか。

 

そこで、

とりあえず鏡のある練習室借りて
マーティがやってたのを全部やってみる。

 

ウィンドミル奏法 (ザ・フー
これは割とできる。琵琶の側面に当たらないように注意

・ダックウォーク (チャックベリー)
腰が辛いが、できなくはない。
しかしカッコよくない。
そもそもギターでもカッコいいわけではないというか、
チャックベリーがカッコよかっただけでは。

・ライトハンド奏法(ヴァンヘイレン)
できなくはないが、音量が小さいのでコンプレッサーを噛ませたい。
撥を一回置く必要あり。

・背面弾き(ジミヘン)
これはストラップが腰でフィックスするので
できないんですよね。改良できないものか。

・寝転がって尺取り虫の動き(アンガスヤング?)
コレの元ネタがわからないんですよね。
とりあえず琵琶は海老尾が出っぱってるので
寝っ転がるのはリスク大きい。

・アンプに足置く、蹴飛ばす(ビジュアル系など)
これは簡単ですね。

・足上げステップ(布袋寅泰
これもダックウォークと同じで、
本人がやるからカッコいいってやつですね。

 

あとはポールギルバートのドリル
MIYAVIのようなスラップができるか

 

とりあえずローリー寺西さんの動画を見て変則奏法を練習する。

琵琶の楽譜のネット販売

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楽譜を買うとなると楽器店で買ったり、雑誌についてきたりしましたが、
最近ではネット販売サイトで買う方も多いと思います。

そこで、「琵琶でポップス」運動の一環として、
琵琶の楽譜もネット販売サイトで販売しようじゃないか、と思いまして、
私なりにフローをまとめてみました。

 

1 曲を決める。
当たり前ですがまずはココですね。
オリジナル曲であれば問題ないのですが、カバー曲ですといろいろと決める要素がありす。 


(1)音域が収まるか
琵琶は通常の調弦だと2オクターブと少し、工夫しても2オクターブ半ぐらいでしょうか、
原則として、その音域に収まる曲となります。


(2)運指、指が届くか
締めを多用すると速弾きが難しかったり、
実際に弾いてみると指が届かないということもあります。
特に悩ましいのがⅣの音、3本本調子(AEAE)だとFですね。
ポップスではよく出てくる音ですが琵琶だと半締めになるため、なかなかの鬼門になります。


(3)コード音も鳴らしたいよね
メロディ単音で弾いても練習になりますし楽しいのですが、
できればベース音も鳴らしたり、トレモロや8の字でダイナミックにならしたいですよね。
となると、コード進行でもうまくハマらないかを考えます。


(4)著作権
ここも大事です。
楽譜を完成しても、出版社や作曲者から許諾を得られずに販売できない、ということもあります。
だからといって、こっそり販売しようとしても、まずは販売サイトで登録ができなくなりますし、
著作権法違反は懲役と罰金が待っております。

 

そんなときは以下の方法


パブリックドメインの曲を使う
ざっくりいうと、古い曲ですね。
著作権の保護期間は国によって違ったり、制度変更があったり、戦争の時期の加算があったりといろいろと複雑ですが、
亡くなってから70年というのが目安です。

ただ、クラシックの古い曲だよなー、という感覚でも
作曲家が長生きだったり、実は20世紀の作曲家だったりするとパブリックドメインではありません。
ハチャトゥリアンの「剣の舞」も
ルロイ・アンダーソンの「トランペット吹きの休日」も、まだ切れていません。
また、曲が著作権が切れていても、編曲家が長生きだったり、詩は残っていたりと複雑なので、きちんと調べましょう。

 

ジブリとディズニーを選ぶ
これはですね、Piascoreさんが許諾の代行申請してくれるので楽だ
ということです。
ジャニーズの楽曲も代行してくれるみたいです。
そんなものですから、私が販売しているのは
パブリックドメインであるバッハのト長調メヌエットと、ジブリ魔女の宅急便のテーマです。

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このように、ジブリ作品は許諾代行申請してくれます。

 

 

・ちゃんと楽譜出版社や著作権者と連絡をとって許諾を得る。
これも、きちんと手間をかければ通常は許可してくれる、はずです笑。
すいません、次やってみます。

 

(5)テンションがあがるか
ここも大きいですよね。
売れるか、とか著作権の許諾がとれるか、よりも、自分が好きでテンションがあがらないと楽しくないので、
思い入れのある曲がよいと思います。

 

2、移調やアレンジ
次の作業が、曲が決まったので実際に琵琶で弾いてみよう、ということです。
琵琶の場合には調弦がさほど自由ではないので、ある程度キーを変更することが多いです。
ト長調メヌエット」も、3本本調子で弾くために「ハ長調メヌエット」にしましたし、
「海の見える街」も、EマイナーからAマイナーに移調しています。
あとは、難しいパートを簡単にしたり、音を減らしたり増やしたり、
これも多くやりすぎると編曲権・同一性保持権と抵触したりと、許諾を得られない可能性もありますからご注意を。
Piascoreでも久石譲作品は過度なアレンジはお控えください、と書いてあります。

あと、琵琶っぽい。
締めや腹板を打つ音、スリなどの効果音もどこに入れるか、
と考えるのもココですね。楽しい作業です。 

 

3 ソフトを使って楽譜作成
ここから手書きで楽譜を作るという方は、ここは飛ばして頂くのですが、
他の楽譜のように、ソフトで作った楽譜で作りたいときは割とココがネックです。

(1)どんな譜面にするか
昔ながらの縦書きの琵琶譜もありますが、ポップス曲で販売するとなるとおそらくTAB譜、
絃の押さえるポジションが記載した楽譜、ギターやベースで使うものがわかりやすいと思います。

このタブ譜、ギターのタブ譜でもありますが、

タブ譜のみで音価(音の長さやリズム)がわかるように書くこともできなくはないのでしょうが。
タブ譜からでは音の長さや音高が分かりにくいと思います。

そこで、私は五線譜とタブ譜の2段書きにしています。

バンドスコアのギターやベースの楽譜も多くはこのスタイルですね。

 

(2)音楽ソフトは何にするか
ここで楽譜作成ソフトを使いますが、
DTMの打ち込みソフトについてくる楽譜作成機能を使うことや、FINALEなどの楽譜作成ソフトを使う場合もあります。私はDAWの定番、Logicを使っています。


ただ、LOGICでタブ譜を使うときのネックが、

音楽ソフトに琵琶チューニングは装丁されていない、ということ。

3本の本調子では、4絃の3柱はAで、4柱はBですが、

ギターのタブ譜では半音でフレット数があがるので、五線譜とズレるわけです。


そして、LOGICの機能で、メロディを基準に、ギターのフレット番号を勝手に割り振ってしまうのです。

そこで、五線譜の楽譜と、何も音符のないTAB譜を用意することにしました。

 

(3)五線譜パートの打ち込み
これは割と楽で、カバーに選びたい楽譜なら
楽譜販売サイトにあるので、印刷して手入力すればよいですし、
MIDIデータを買って、そのままインポートするのも楽です。
「海の見える街」もMIDIデータを200円で買って、ドラッグで移調してと、5分で作業が終わりました。
注意としては、MIDIは聴く用にできているので、例えばスタッカートの8分音符が32分音符で打ち込まれていたりします。
それをドラッグで音符用に変えるのはひと手間かかりますが、それでも最初から入力するより楽です。

 

(4)琵琶譜は画像編集ソフトで作る。
じゃぁ琵琶譜の部分はどうするのか、というと
もう結局はコレしかないのだと思います。
五線譜が入力された楽譜をPDFにして画像編集ソフトで読み込んで、
琵琶のタブ譜の部分に数字と記号を入れていきます。

スタッカート「・」や△▲などの記号は、文字テキストの変換から使い、

数字は直接楽譜上の絃の上に入力していく。

まぁまぁ面倒くさい手作業です。


コレの前提として、全休符を消すのが地味に面倒くさい。
当然ながら音のない空のパートなので、すべての小節に全休符がある。
しかしタブ譜を載せていくとなると邪魔だ。
というわけで、全休符を白い長方形を上に乗せて消すのです。
Finaleだと確か全休符の表示を消せるかもですが。

 

(5)琵琶の特殊記号を作成。
琵琶には上から降ろす打絃(通常打絃)とスクイ、絃を切るように弾いたり、腹板を軽くたたいたり、
打ち撥や締めなど、いくつもの奏法があります。
これも他の西洋楽譜の記号から転用したり、自分で作ったりしないといけません。


私は
Hハンマリング:打絃せず、絃を指で押さえて音を鳴らす 口琵琶だと「ん」 
Pプリンぐ:打絃せず、指ではじいて音を鳴らす 「りん」
Sスライド:駒を移動することで音を鳴らす 「うん」
などのギターの奏法の記号を借りたり、
「ス」撥で腹板をかるく打つ、などの琵琶譜の表記をそのまま使ったりしています。

また、指使いも、△が人差し指、▲が薬指・中指という琵琶譜の書き方を参考にしつつ、
ポップスだと小指のみで押さえたり、薬指のみで押さえたりするときは
「小」や「薬」と入れることにしました。

 

ピアノのように指番号を入れてもよいのですが、TAB譜のフレット番号と混ざってわかりにくいので。

 

4 楽譜販売サイトに登録
楽譜が完成したら、楽譜販売サイトにいって、
販売者用のログイン画面にいき新規登録をして進みます。
これはあまり難しくはないです。
パブリックドメインならその旨を、ジャスラック曲なら登録番号をジャスラックのサイトで検索して入れます。
このときにジブリ作品なら勝手に許諾代行してくれるのですが、
他のものは各自が出版社に問い合わせて、許諾証明を添付してアップロードが必要となります。
あとは値段を決める、高すぎもせず、安すぎもせず、ちょうどいい塩梅で。

 

もっとも、
琵琶でポップスを弾きたい方で、おそらく五線譜もある程度読める方に絞られて、
更にいえば、そんな方は大体が楽譜を見ずとも弾けてしまうんじゃ、、、ということなので、
潜在的顧客の数とか、労力とか、利益とかきちんと考えると・・・なのですが笑。

 

これも琵琶の普及のためでしょうか。


私は150円で販売していますので、是非ともお気軽にお買い求めください。
振込手数料と販売手数料を越えた売上にならないと私の口座に入金がありません笑。

 

ちなみに、楽譜が登録されてネットで見られるようになると、

あの、ヨハンセバスチャンバッハと並んで編曲者で載ったり、

「作曲 久石譲、編曲 双山敦郎」の表記が嬉しい。

親交ある風じゃないですか笑。

「あー、久石さんなら去年彼の曲アレンジしたことがあってね」などと言えます(嘘ではない笑)。

 

5 みんなに広める
最後はココですね。完成したら色んな人に広めること。
買ってくれる人につながるかもしれません。
実は、この販売サイトのメリットは他にもありまして、
「堂々と楽譜を配布できる」ということになります。
たとえばポップス曲、紅蓮華でも白日でも香水でも、
何人か集まって弾こう、と思っても楽譜は配れないのです。
「え?自分で耳コピで採譜しただけだし、仲間内だけだよ?」といってもNGです。

たとえば、吹奏楽部で課題曲があったときに、一冊だけ楽譜買って部員でコピーしたくなりますが、
あれは原則としてダメで、人数分買わないといけないのです。


それは耳コピであっても同じく。

 

ところが、piascoreに登録して、値段をすっごい安くしておくと、
それを各自ダウンロードしてプリントしてね、というと
堂々と著作権をクリアしてみんなが楽譜を持てることになります。
150円のうち数十円は久石譲さんにも支払われますし、きちんとすることの「気持ちよさ」と「すがすがしさ」を体感できます。


そんなこんなで、
琵琶でポップス活動、ポ活ですね。琵ポ活ですか。
そのためにも、皆さんもぜひとも楽譜を作ってドシドシ登録しちゃいましょうぜ。

 

もっと詳しいやり方を知りたい方はお問合せくださいませ。

Netflix トークサバイバー

トークサバイバー

 

ネットフリックスで放映されている
佐久間プロデューサーとMC千鳥の、ドラマとトークバラエティを 合体させたような番
組。


これが新しいし面白い。

 

設定としては、千鳥大悟が主演で、劇団ひとりトークに定評のあ る芸人が10人以上で
学園ドラマと刑事ドラマが織りなす中で、

「犯人を説得するために、自分が傷ついた話を言ってください」などのように、
ドラマの中の必要性の中で、エピソードトーク大喜利をやる、というもの。

 

バラエティパートで話すエピソードは、
言ってしまえば「すべらない話」ですし、
大声で普通のことを言ってください、というお題も「一本グランプ リ」の定番ネタ。

だから、中身の部分はそれほど新しいことではないのですが、
ドラマの役柄と、その衣装や舞台設定の中でやるエピソードトーク となると、
全然趣が違うし、それに合った強度が違う。


エピソードトーク自体が面白くても、役柄を離れて素の自分の声で話す人はウケなかったり、
劇団ひとりなんかは、役を演じている中からグラデーションでエピ ソード入っていくので、そこはさすがといいますか。


パンサー向井さんも、オードリー春日さんも、狩野英孝さんも、この枠組みの中の最強感が半端なく、
向井さんのラジオ聞いてるので、ラジオスター向井さんが活躍した ことが本当にうれしい。

 

構造の話でいえば、モニターカメラから見ている役の千鳥ノブさんが
単に相席食堂のようなモニター越しのツッコミ役だと思いきや、
終盤ではドラマのフレーム内であったというドッキリがあり、
まるでネバーエンティングストーリーのバスチャンのような、多層構造で、

 

佐久間プロデューサーの才能がすごい。


日本のバラエティの底力なのか、これが世界輸出できるなら面白い 展開になりますね。

 

キャストも絶妙で、自分がキャスティングすることも考えたのです が、今以上のキャストが思いつかない。
たとえば、「すべらない話」の常連の宮川大輔千原ジュニアがいたとしても、
素のトークが面白いだろうけど、刑事として学園ドラマの役の中で はハマるイメージはないし、


アルコ&ピースの平子さんが刑事でいたら面白そうだけれども、役柄と雰囲気は上手そうなのですが、ムードだけで終わりそうな笑。


学園パートで若林さんいても面白かったんでしょうけれど、若林さ んのカリスマ感やMC感が大悟さんと喰いあう感じもしますし。

意外と難しい。

 

強いていうなら、女性芸人をもっとキャスティングして欲しかった 。
しかし、あのメンツの中でエピソードトークを10個20個戦えるとなると、
友近さんか、


いや、逆に言うと最終決戦に残ることをイメージできるのは友近さんしか居ない。

あとは役者側で出てましたがハリセンボン春奈さんか。


海原やすよともこさんも、大阪臭が強すぎてネットフリックスに合わなそうな笑。

 

そういう意味では峰岸みなみさんは絶妙なキャスティングだったなぁと。


いずれにせよ、
単に面白いだけではなく、すごい作品だったのでお勧めです。

琵琶のサワリの歴史

琵琶には、絃が糸口や柱において面で接することによって生じる

歪んだビビり音があります。

 

これは三味線の一絃にもあり、

日本音楽の特徴の一つとして数えられています。

 

このサワリが、いつどのような過程で成立したのか、

考察していきたいとと思います。

 

まず、サワリの構造は五つほどの種類に分けられると考えています。

 

1.近代琵琶型

薩摩琵琶や筑前琵琶のように糸口や柱を厚くすることによって

絃が柱に面で接することによって生じるもの

 

2.三味線型

一絃を上駒から外すことで、糸蔵とサワリの山に微妙に当たることによ

って生じるもの。

近代琵琶型が「面」でサワリをとっていることに対して

三味線は、糸蔵とサワリ山の2点で接することによって生じます。

 

面ではなく、複数点で絃が微妙に当たることで生じるサワリは

平家琵琶のサワリ、

一柱が開放弦に当たることによって生じるサワリと同じ構造と考えますので、

三味線型に分類します。

 

3.シタール

シタールはブリッジ側にジュワリという象牙や木でできた丸みを帯びたブロックを設置し

これも面で絃が接することによってサワリが生じます。

 

4.タンブーラ型

シタールと同じくジュワリが設置されてますが、

ブリッジ側に糸が挟み込まれており、

サワリの調整として機能します。

 

日向盲僧琵琶の永田法順も、糸口に紙縒りを巻く工夫をしており、

このタンブーラ型に分類されると考えます。

 

5.過渡期三味線型

これは上記のサワリ構造とは別のもので

絃自体に針金を巻く方法です。

絃が面もしくは複数点で接することによってサワリを生じさせるのではなく、

針金が絃の振動に影響を与えることによって生じます。

いわばサワリの変種と考えられます。

盲僧琵琶にもこの形式のサワリがあったようです。

 

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さわりの図 

著:千田崇文・吉川茂
『サワリ機構をもつ弦楽器モデルにおける撥弦振動に関する実験的考察 : 初期条件の影響について』

こちらの図を参考にさせて頂きました。

 

それでは、このサワリの起源はどこにあるのか。

 

シタールやタンブーラにおいてジュワリの歴史は未検討です。

シタールは、13世紀から14世紀にかけて活動した音楽家、アミール・ホスローが、シタール的な楽器を使用したと記録されている、とのことですが、

その時点からジュワリがあったのか、

それ以前の楽器でジュワリは存在していたのかについては、今後の課題とさせて頂きます。

 

なお、ジュワリとサワリの音が似通っていることから、

語源が共通することが指摘されていますが、

ブリッジでサワリを取る方法と、三味線や平家琵琶の二点で取るサワリとは

方法論が大きく異なるや、成立年代が異なることから、

後述するように、インド音楽の影響でサワリが伝達されたと考えることは難しいと考えています。

 

日本音楽のサワリの歴史に触れるものとして以下の研究があります。

『三味線のサワリに就いて』吉川英士

東亜音楽論叢―田辺先生還暦記念 (1943年) 193頁

 

三味線の祖である中国三弦や、琉球三線にサワリ音がないことと比較して

サワリが日本の三味線の特徴として考察されています。

 

サワリが認められる年代のわかる書物としては以下があります。

 

鶴沢新右・野沢喜立著 末吉梅笑編

「三絃独稽古」宝暦7年(1757年)刊行

 

「上駒 糸蔵の下一の糸を除きて二と三との糸を下え挟む。筆の鞘を細く割りて用ゆ」

と記載したうえで図解を載せております。

 

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三絃獨稽古 『三味線のサワリに就いて』吉川英士 挿絵より

上駒から一絃のみを外す方法でサワリを取っていたことがわかります。

少なくとも宝暦には三味線でサワリが発見されていたといえます。

 

また、吉川氏は京都山田長左衛門所蔵の二曲屏風

『婦女遊楽園』にある三味線には、一絃のみ上駒を外してある様子が認められるとしています。

 

この屏風の製作年は不明であるが、描かれている風俗から

寛永頃(1624年〜1644年)と推察されています。

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婦女遊楽園 『三味線のサワリに就いて』吉川英士 挿絵より

 

このサワリの発見については吉川氏は以下のように考察しています。

 

当時は上駒が固定されておらず、取り外しができるようになっていたこと。

その調整の際に、一部の絃のみを上駒に乗せた場合に生じる効果から、

サワリ音を発見したのでは、と考察しています。

 

上駒が固定されていないことは、

「二と三との糸を下え挟む」と、絃で上駒を「挟」んでいると表現していることから裏付けられる、とのことです。

 

では、この三味線のサワリが琵琶を起源にするものであったのか、

それとも三味線のサワリが琵琶に影響したものであったのかを考えていきたいと思います。

 

まずは、三味線のサワリが寛永期に成立していたのだとすれば、

盲僧琵琶の発祥に先んじるものといえます。

 

盲僧琵琶の成立は、以前も考察したとおり

1674年の三味線禁止令を基にして、三味線を使えなくなったという消極的な理由から

平家琵琶を改造し、次第に柱を高くする、小型化するなどの工夫が生まれて、成立していったと考えています。

 

ここに、盲僧琵琶は楽琵琶とは別に

インド発祥の直頸の五弦琵琶を祖として、

奈良時代に九州に伝来していたとする説がありますが、

盲僧の起源伝説を無批判に採ったものとして現在は否定されています。

 

となれば、

三味線のサワリが盲僧琵琶や近代琵琶より前に存在していたことは明らかです。

 

次に、平家琵琶の山型の一柱によるサワリがいつ始まったかについて検討します。

 

まず平家琵琶の歴史は、

語り物の琵琶としては10世紀頃、

平家物語との結びつきは13世紀後半とされていますが、

楽器が楽琵琶と分岐して、小型化・撥の変化が見られるのはもっと後であろうと思われます。

 

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平家琵琶さわり 日本の伝統芸能講座第六章 薦田治子著 挿図より

 

まず、現在の平家琵琶の第一柱は、上図のように山型になっており、ネックに接着されておらず、二絃が柱を押さえているようになっています。
従って、第一柱には勘所(音階)としての機能はなく、純粋にサワリ装置として用いられています。

そして、二絃は第一柱を支える関係で、開放絃の音はありません。

よって、調弦の際には二絃は開放弦で調整することはできないため、

二絃は三柱を押さえた音で調弦することになります。

 

ここに、江戸時代の平家琵琶の曲集の中に、

平家琵琶調弦雅楽の風香調(黄鐘調)に由来すると書いたものがあります(「太平楽亭平曲集成」)。

黄鐘調は、一絃をAとするとACEAとする調弦法ですが、

開放弦をそのように調弦することは、当然ながらサワリ柱がないことを意味します。

仮にサワリ柱があるのであれば、二絃を開放弦で調弦することができないからです。

 

また、当道座の座頭や盲僧などの職業音楽家ではなく

愛好家の間では一般的に黄鐘調に調弦がされ、サワリはなかったといわれます。

 

従って、サワリ柱が平家琵琶に採り入れられたとしても、

江戸時代の初期ではないと考えられています(薦田治子・日本の伝統芸能講座 第六章 平家琵琶)。

 

とすれば、おそらく三味線でサワリが開発された寛永期(1624年〜1644年)が平家琵琶に先んじることになります。

むしろ、当時流行となった三味線のサワリ音を、平家琵琶において再現するために

サワリ柱が開発されたのではないかと考えられます。

 

次に、盲僧琵琶や薩摩琵琶でのサワリは

どのようにして生まれたのか、

 

これは明確に三味線が先んじるものであることから、三味線音楽の影響が多分にあると考えます。

三味線禁止令(1674年)によって三味線を手にすることが出来なくなった九州地方の盲僧は

様々な工夫で琵琶を「三味線化」していきます。

古盲僧の中には三味線のように細く、また三弦のものもありますし、

柱を取り外しができるようにして、

柱を外して三味線のようにノンフレットで弾くことを試みる盲僧もいたようです。

それに対して、藩から「柱を打ち付けるように」と命ぜられた記録があります。

 

それほど、当時の三味線は人気の楽器であり、

盲僧は琵琶を三味線のように弾くことを望んでいたことになります。

 

となれば、三味線のサワリ音を再現することも研究がされていたと推察されます。

フレットがなければ、ネックの調整でサワリを付けることは可能でしょうが、

フレットがある中で、高い絃高の中でサワリ音を再現するにはどうするか、

また、全ての音でのサワリを実現するためにはどうするか、

 

その工夫の過程で、厚い柱からサワリを取ることを考えついたものと考えます。

 

つまりは、琵琶におけるサワリは、

平家琵琶においても、盲僧琵琶においても、

三味線のサワリ音に大きく影響されて成立したものと考えます。

 

平家琵琶においては固定しないサワリ柱を設置することでサワリを獲得し、

盲僧琵琶において柱を打ち付けねばならないという制約から、

柱や糸口を平面にすることでサワリを獲得していったと考えます。

 

以上のように、日本音楽におけるサワリは、

三味線における上駒の工夫によって発見され、

それが琵琶に採り入れられたと推測します。

 

次に、それでは三味線のサワリがシタールやタンブーラのようなインド・アジア音楽の影響によるものかを検討します。

 

上述の吉川氏の考察のとおり、

三味線のサワリが、可動式の上駒をズラしたことによって偶然発見されたとすれば、

 

サワリ機構をシタールやタンブラなどの外来楽器からもたらされたとするのは

若干無理があるかと思います。

 

なぜなら、

ブリッジ付近に設置されたブロック・ジュワリによるサワリと、

上駒を外して複数点で接する三味線のサワリは、大きく方法論も異なります。

 

もしかしたら、サワリ音という概念や価値観のみが伝来した可能性もありますが、

近世においてインド音楽が三味線の製作者に影響をもたらせたという文献が見つからない限りは、

「さわり」と「ジュワリ」の音が似ていることをもって、

インドから日本にサワリ音が伝達されたということは難しいと思われます。

 

以上のように、琵琶におけるサワリの歴史は

三味線の大きな影響を受けて江戸時代中期以降に成立したものであると考えます。

 

他方で薩摩琵琶においては柱でサワリを採る工夫から、全ての絃で全ての音階でサワリをとることを獲得し、現在の琵琶の特徴であるサワリ音を改良していったものと思われます。

 

琵琶のサワリの歴史についての考察は、まだ少ないのですが、

琵琶がサワリを獲得していく歴史について、またわかることが出てきたら追記していきます。