琵琶 双山敦郎 晴耕雨琵

琵琶プレーヤー双山敦郎のブログ

モンゴルメタル THE HU

https://youtu.be/v4xZUr0BEfE

The Huというモンゴルのメタルユニット
カッコいい

擦弦楽器馬頭琴と、
打弦楽器のトブショールを弾き、
ホーミーや喉歌を駆使するメタルバンド

 

これを、
やられてしまっかた、という衝撃。

世界各国で、伝統音楽にロックやポップに混ぜ合わせて
エンターテイメント音楽に昇華させる、

という試みは、
どこを始点にするかにも拠りますが、
それこそ100年近く世界中の国がチャレンジしてきました。

 

日本でも、
宮城道雄から上妻宏光和楽器バンドに至るまで、
試行錯誤の系譜があるのです。

それはある意味では国内的に成功したり評価されることもあるのでしょうが、
少なくとも世界的なエンターテイメント音楽の文脈から「成立」したことはなく。

 

テクノ音楽ではYMOがいたり、
西洋クラシックの中の武満徹だったり、
評価される音楽家はいても、

ユッスーンドゥール•ジプシーキングのような
世界的な伝統楽器の演奏家•歌い手•アーティストは出てきてなかった。

まぁ、
これは厳しく言えばアジアからも出ていなく、
それこそ近年では女子十二楽坊ぐらいですかね。
伝統楽器バンド、的なもので世界市場で健闘したのは。

 

という状況の中、
いつ、日本から、世界音楽ができるのか、
もしくは永遠にでることはないのか、
と思いながら日々を過ごしていたら、

 

モンゴルから出てくるとは。
(まだ可能性ですが)

 

これ、何がすごいって、
企画物ではないのです。
馬頭琴でメタルやってみました、
ホーミーで歌ってみました、という代物ではない。
その点で女子十二楽坊とは次元が違う。
次元であれなら、目線でしょうか。

 

上妻宏光さんも、
デビューしたときの衝撃はすごくて、
「游」なんて、ファンクと津軽三味線をお洒落でかっこよく融合させていたんですが、

彼は基本的に「三味線愛」で取り組んでいるので、
三味線を軸足に、
次のアルバムではフラメンコ試してみました、
次は打込みやってみました、
という一回的な取り組みになってしまう。

 

自分の楽器スタートなので、
掛け合わせるジャンルへのこだわりが希薄で。
そうなると、なかなかジャンルにはなりにくい。

 

このThe Huは、
馬頭琴が出発点ではなく、
メタルが根っこにあって、
マインドはメタルミュージシャンなんですよね。
ベースとなる音楽にこだわりを持っている。
それが、自分の声で自分のことを歌うときに、
英語でメタルを歌うではなく、
ホーミーや喉歌を使い、馬頭琴を弾くことに必然性があったんでしょうね。

 

この点、氷室京介
英語のフィーリングを日本語に近づける努力をして、
それが国内的には成功したのですが、
残念ながらBOØWYにとって、
三味線を手に取ったり、
伝統的な歌唱を取り入れることは、
ロックではなかった。

 

彼らは、
モンゴル語のまま、
馬頭琴を手に取ることがメタルだったし、
伝統歌唱がメタルになることに気付いた。

 

これは、時代もあるんでしょうし、
日本にとって西洋音楽が近かったこともあるのか、
はたまた彼らが突然変異で、
世界音楽を作ろうという気概があるバンドが突如出てきたのか

カッコよく、羨ましい