琵琶 双山敦郎 晴耕雨琵

琵琶プレーヤー双山敦郎のブログ

音楽家のための新型コロナ対策

withコロナで大変な状況にある音楽家のために

 

※2020年5月13日

1.無観客公演等の収録映像を活用した 動画の制作・海外配信について

2.生活保護について

こちらは次記事に詳細書く予定です。

 

普段法律職に携わっているので、

イチ音楽ファンの立場から、

楽家の皆さまのために、新型コロナ対策をまとめてみました。

 

1.補助金や給付金を全て受ける

様々な補助金施策があります。

マスク以外は申請しないと原則もらえません。

おそらく、この手の書類手続が苦手な音楽家も多いと思いますが、

 

フリーランスでも受け取れるものとして(実施予定も含む)

持続化給付金、最大100万円

前年の同月に比べて収入が半分以下になった場合(月は選べます!)

減少分が貰えます。

https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/kyufukin.pdf

 

小学校休業等対応支援金、1日4100円

休校になった小学校、幼稚園、保育園の児童の保護者が、

仕事を休んだ場合の支援です。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10231.html

 

住居確保給付金 最大家賃9カ月分

東京都23区の場合では、

収入要件は単身世帯で13.8万円、2人世帯で19.4万円

資産要件は単身世帯で50.4万円、2人世帯なら78万円、

例えば、月収が13万円になり、貯金が50万円以下であれば家賃補償がもらえます。

https://r.nikkei.com/article/DGXMZO58437290U0A420C2EA4000?s=4

 

特別定額給付金 10万円

一人頭10万円支給されます。

住民票の世帯主にまとめて支給されますので、

住民票が実家の方や、世帯主が別居中のパートナーの場合、

世帯主を通してもらうことになります

DVなどのケースでは4月30日までに!申請を行えば自身が受取れるようにできます。

https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/gyoumukanri_sonota/covid-19/kyufukin.html

 

他にも各地方自治体の補助金もあります。

 

東京都だと、

東京都感染拡大防止協力金 

施設を閉じた事業者(ライブハウスや音楽教室)に50万円

https://www.tokyo-kyugyo.com/

 

「アートにエールを!東京プロジェクト」

動画作品を投稿すると制作費10万円

https://www.seikatubunka.metro.tokyo.lg.jp/bunka/katsu_shien/0000001441.html

 

ミュージシャンにとって煩わしい書類の数々ですが、

この経験は今後に役に立つはずです。

 

また、申請の際に必要なのが、証明のための資料です。

公演が中止になった、

レッスンの収益が昨年より⚪︎%下がった、

 

これらの資料が必要になる場面があります。

おそらく、今までは契約書を取り交わさずに公演することも多かったと思いますが、

それは、日頃の紛争予防としても、天災のときの給付を受けるためにも、

今後はしっかりした方がいいです。

いい興行主は「契約書を取り交わしたい」といっても嫌な顔をしないものです(反対解釈も成り立つ)。

 

あと、契約書とか面倒だな、と思われるときも

「こっちで作るの面倒だな」のパーセンテージも大きいので、

「私がいつも使ってるドラフトがありますので」と差し出せば割合とすんなり進みます。

 

また、自身が賛助を依頼する場合も

なあなあではなく、きちんと契約を取り交わしたいですよね。

 

2.融資を受ける

給付金以外にも、無利子低利子で融資を受けられる施策があります。

緊急小口資金 無利子 20万円

https://www.shakyo.or.jp/coronavirus/shikin20200324.pdf

 

日本政策金融公庫 

新型コロナウイルス感染症特別貸付」と「特別利子補給制度」 実質無利子無担保

https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/covid_19_m.html

 

商工中金

https://www.shokochukin.co.jp/disaster/corona.html

など

 

これも借りれるものは全部借りることをお勧めします。

使わないときは返せばいいだけです。

新型コロナの影響は長くかかると想定されます。

ライブ配信を収益化するためにも

オンラインレッスンの設備を整えるうえでも

手元資金は大切です。

もちろん、必要性を考えて計画的に使いましょう。

 

3.オンラインレッスン

フェイストゥのレッスンができなくなったので

既にオンラインレッスンに切り替えている講師も多いと思います。

 

これを機にオンラインレッスンにも一工夫あると

この時期に生徒さんが増える可能性ありです。

 

(1)2画面使ったり、譜面の画面共有を使う

ピアノのオンラインレッスンで使われている手法ですが、

講師の顔がみえるメインの画面のほかに、

指使いが見える鍵盤の真上のカメラを使うと

生徒が先生の指使いを、普段見えないアングルから見ることができます。

箏でも、基本的に講師と生徒が向かい合って座りますが

師匠の側から手元がみえるカメラがあると、

自分の手元と左右の向きが同じになるので、対面のレッスンとは違う学習効果があります。

琵琶だと、指板のアップや、弦と撥の距離が見えるような斜め上のアングルも入門者にはありがたいと思います。

 

(2)譜面の画面共有

zoomの機能を使うと譜面を画面共有できます。

これも対面レッスンではそれぞれが譜面をみるので、同じ箇所を見えるのはメリット大です。

部分を拡大したり、譜面に書込みも自由にできます。

 

(3)課題を動画でレスポンス

また、オンラインレッスンを導入する際に取り入れたいのが、

課題を動画で双方向でやりとりするメソッド、

ノータイムシェアリングメソッド、とでも名付けましょうか。

 

というのも、

おそらくオンラインレッスンを始めている先生は

今までの対面レッスンと同じように、

30分なら30分、1時間なら1時間を

生徒と時間を共有してレッスンをしていると思います。

 

しかし、その方法だと

レッスン時に指摘を受けた、部分練習の必要な課題をその場で練習するわけにいかないのです。

それは、当然ながら貴重なレッスンの時間があるので、

一通り曲をさらう必要があるからです。

 

そこを、

例えば講師から事前課題を出す、

生徒が練習に取り組んで、演奏動画を先生に送る、

先生からは修正箇所を指摘したり模範演奏を送る、

生徒が修正を学んで再びアップロードする

何回か繰り返す、

 

この手法だと、

先生としては動画を確認して指摘する作業になるので、

レッスンよりも短時間に課題と修正の作業ができます。同じ時間に何人もの生徒を指導するのともできます。

生徒としても、仕事終わりや休みの日など、

自分のタイムスケジュールで取り組めます。

同じトータル60分でも、間に個人練習を挟める60分になるので学習効果を倍増できるのです。

 

この手法と、

従来の時間共有のレッスンを組み合わせると

上達スピードが早くなる、というメリットありです。

 

せっかくオンラインレッスンを取り入れるなら

オンラインならではの強みを出して、

ノットタイムシェアリンメソッドも活用してみるのもアリかと。

 

(3)楽器を2つ使える

これはピアノなど大きな楽器ですね。

生徒と先生が一台のピアノを座り直してレッスンしていたのが、

生徒側と先生側で二台のピアノでレッスンができるので、

音大などじゃないと滅多にできない

ピアノ二台の連弾もできる(まだタイムラグがありますが)。

まぁ、邦楽器だと一面を共有することは少ないでしょうか。

大太鼓ぐらい?笑

 

(4)全国、全世界に生徒が広がる

オンラインレッスンで強みが出せると

稚内の生徒を教えた5分後に

ドュッセルドルフの生徒も教えられる。

今まで通える圏内の生徒さんだけだったのが、

世界中の生徒さんに教えられるのがメリットです。

洋楽器はもちろん、

尺八も世界で愛好家がいます。

講師の方も、これを機に語学学習もいかがでしょう!

 

ノットタイムシェアリンメソッドを使えば

Google翻訳を挟んで文章で理解を補足できると思います。

 

あと、

オンラインレッスンを取り入れるにあたっては

支払方法も考えるとよいですね。

中国など海外送金に規制がある国もあります。

事前に振込をもらう方法だけでなく、

PayPayなどの電子マネー

Amazonギフト券やクレジット決済など、

導入がオススメです。

 

4.オンラインライブ、ライブ配信

こちらも定番のコロナ対策ですね。

ライブ配信のための通信環境、マイクやスピーカーなど、工夫ができます。

これもオンラインレッスンと同じく

リアルなライブでは見られないアングル

指使いのアップだとか、

演奏者から見えるアングルなどで違いが打ち出せるかも。

(私は能の舞台を鼓の人の目線で観てみたいです)

 

360度カメラなどを使うVRライブもありますが、

自宅ライブでもVRは面白いと思います(部屋を全部片付けないといけないのですが笑)。

 

このオンラインライブや動画配信で気をつけたいのが

マネタイズ、

 

今は自粛期間で多くの音楽家が無料でアップロードしていて

聴衆側としたらこんなに贅沢をしていいのか、

という状況ですが、

 

きちんと有料に切り替えて

マネタイズをしていく目線を持つことですね。

 

YouTubeで再生回数で収益をあげるのは

広く人気のあるユーチューバーにならないといけないので、相当ハードルがあります。

スーパーチャットを利用した投げ銭はチャンネル登録者が1000人以上と、

これもコロナから取り組んだ方にはハードル高いです。

 

そこで、

QRコードを使った投げ銭を提言されている方も、参考まで。

https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2003/24/news056.html

 

他にも固定のファンがいる場合は、

会員制の動画配信を使って、

ファンに動画やライブごとの代金をもらう方が親和性があると思います。

face bookも有料の動画配信サービスを開始するそうです。

https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2004/25/news030.html#utm_source=msn_v3&utm_medium=feed&utm_campaign=20200425-031&utm_term=news&utm_content=link

 

5.物販

レコードやCDが売れなくなったいまでは

物販が収益の基礎となってるケースも多いです。

今まで物販をやったことない方も、

ファンにとってはアーティストにまつわるグッズは嬉しいもの。

和風小物に簡単な絵や文章を乗せるのはいかがでしょう。

私は琵琶が入った小物は何でも買ってしまうので、

琵琶小物に好きな琵琶奏者のサインがあればかなり欲しいです笑。

 

6.楽譜販売

これ、私が最近始めたものです。

レコードなどの音源がない時代の音楽家

楽譜販売が収入の基礎だったのです。

モーツァルトも、売れる楽譜のためにキャッチな曲を作ったそうな。

 

私はポップス曲など洋楽の曲を

琵琶で弾けるようにアレンジして譜面にするプロジェクトに取り組んでいるのですが(まだクラシック一曲だけですが)、

 

「あの有名な曲を自分の楽器でも弾きたい」

という気持ちは、楽器を始める人は必ず持ってますよね。

 

楽譜販売のECサイトだとJASRAC登録曲の著作権料の支払を代行してくれるので

申請の手間は省けます。

 

編曲のためには

別途編曲の承諾を得る必要があるのですが(それはJASRACの管理の対象外)、

ピアスコアさんだとジブリとジャニーズの曲は

編曲承諾も代行してくれる!

 

つまり、

もののけ姫」の琵琶アレンジは

譜面書くだけで、著作権処理を全部してくれるのです。(ピアスコアさんから宣伝費もらってるわけではありません笑)

 

ライブ収入が減ってしまう中、

自分の楽器へのアレンジと楽譜販売は

収益とブランディング兼ねて

チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

 

この楽譜化のよいところは、

生徒に楽譜を配れるところ。

 

ここで注意したいのが、

たとえ自分が耳で採譜したものでも

世の中の著作権保護期間の曲を生徒に楽譜を渡すことは著作権侵害になります(実際やっている講師さんも多いとおもいますが、、、)。

例えば、

私が「もののけ姫」の楽譜を琵琶アレンジしたとしても

練習課題としてコピーを生徒に渡してはいけません。

「え、自分で耳コピしただけなのに、」

「公開するわけじゃなくて、生徒との個人レッスンと使うだけなのに、」

と思っても、

それは著作権者の了解をとったり

著作権料を支払う必要があるのです。

 

が、

ピアスコアやミューコムさんなど、

楽譜販売サイトを通して買って貰えば、

生徒さんにアレンジ曲を渡せるのです。

楽家にとって著作権は大事なものですから、

自分が使う側の場合も大事にしたいですよね。

 

オリジナル曲だと更に自分の著作権なので

見入りは大きいです!

初心者用の練習曲を作ってみるのもよいかも。

日本ではラフマニノフよりもバイエルの楽譜の方が売れますから笑、

毎年のように安定した著作権収入に繋がります。

 

7,音源販売

これも大事ですね。以前ほど収益化は難しいのですが。

ライブのできないこの時期だからこそ

レコーディングをして、

CDにしたり、ハイレゾUSBメモリにしたり、配信にしたり、

それはアフターコロナにも繋がるはずです。

 

8.税金などの減免措置

話が戻りました。

 

固定資産税、都市計画税の減免、 

https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2020/hosei/pdf/hosei_zeisei.pdf

 

国民健康保険料、

https://www.mhlw.go.jp/content/000620361.pdf

減免や猶予があります。 

 

https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/202004/CK2020042102000143.html

国民年金も減免や猶予の基準が前年収入ではなく現在の収入へと緩和化されました。

 

 

住民税も多くの自治体が減免や猶予を実施しています。

 

減らせるもの、伸ばせるものは全部やりましょう。

 

9.家賃など固定費

交渉の余地ありです。

敷金や保証金の範囲なら貸主も猶予はしてくれることが多いです。

また、二、三ヶ月遅れでも、

判例では賃貸借契約の解除はされません※

 

賃料は大事ですが、

食費や医療費など最低限の生活費を確保の方が当然ながらプライオリティは高いです。

 

思い詰めるよりは、、

家賃は猶予してもらった方がよいです。

 

私も音楽に救ってもらった一人です。

一人でも、今回の件で音楽をやめてしまうミュージシャンがいなくなることを祈りつつ。

 

4.28追記

国民年金も減免基準が緩和しました。

賃貸借の解除基準も追記。

 

4.30追記

参考まで、法務省民事局の見解

〇 日本の民法の解釈では、賃料不払を理由に賃貸借契約を解除するには,賃貸人と賃借人の信頼関係が破壊されていることが必要です。最終的には事案ごとの判断となりますが, 新型コロナウイルスの影響により3カ月程度の賃 料不払が生じても、不払の前後の状況等を踏まえ、信頼関係は破壊されておらず、契約解除(立ち退き請求)が認 められないケースも多いと考えられます。

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000624607.pdf

 

PS.皆さまシェアありがとうございます。