琵琶 双山敦郎 晴耕雨琵

琵琶プレーヤー双山敦郎のブログ

ケルト音楽と定番の話

ツイッターで少し話題になった話で
ケルト音楽の笛奏者の方の呟き

 

曰く、
ある公共施設主催の野外のミニコンサートしていたら
通りかかった年配男性が
「知ってる曲やって」と野次を飛ばされて
知ってる曲って何だろう、とモヤモヤしたという呟き

 

ケルト音楽でいうと一般の方に知られているとなると
埴生の宿か、ダニーボーイか、
サリーガーデンか

いや、もっと美空ひばりや泳げたい焼き君を吹いた方がよいのか、

という内容。

 

 

ツイ主の趣旨とは全く違う受け止め方ですが、

なるほどケルト音楽には一般の方に耳馴染みのある定番があるのだと考える。


もちろん、今の若い方には曲名だけではピンと来ませんでしょうが、
CMなり映画なりカバーなりで
「あ、聞いたことある」の曲

 

琵琶にはコレがないんですよ。
一般の方まで知られてる琵琶のフレーズ、メロディ
筝尺八でいう『春の海」
津軽三味線でいう『じょんがら節』
ハワイ音楽でいう『アロハオエ』的な

「待ってました感」のある曲

 

武満徹『ノヴェンバーステップス』が
現代音楽の世界的な名曲であることは間違いないのですが、

それ聞いて「あ、ノヴェンバーだ」となる人は
相当現代音楽ファンであって笑

 

紐解くと
革新性とキャッチさを共存させた宮城道雄という天才が突出していた
という話でもありますし。

 

鶴田錦史先生も、
エレキ琵琶やオーケストラを使っての自作曲は
その方向性は向いていたと思われますが、
その後、芸術性に深化していったので。
(それは一つの成功ですが)

 

つまりは、

一般の方でも耳馴染みのあるレベルに浸透させるというのは
果てしない道のりですね。

 

これ割と怖いのが
業界の人だけが「定番」と思ってるだけのやつ。

バラエティ番組で「都々逸(どどいつ)」を扱って
その師匠にお笑い芸人が話を聞きにいったときに
「皆さまご存知の三千世界の...」といってて
その場に来た人が全員ポカン

 

高杉晋作が詠んだ(ともいわれる)、幕末好きだと知ってるかもしらん句なのですが。

 

あー、こうなったらアカンのだよな
と肝に銘じる。