琵琶 双山敦郎 晴耕雨琵

琵琶プレーヤー双山敦郎のブログ

M-1 2020

M-1

今年のM-1
コロナもあったからか、
2019年ほどの粒ぞろいではなかったんですが、
それでも面白かった。

既存のフォーマットの巧者であることも素晴らしいですが、
どんな発明がされたか、それを評価したいなと。

インディアンス
噛んだのが実はネタだった、というくだり
それ自体はよくあるのですが
そこを発展させて連発にしたのがポイントか。
インディアンスが1組目だったので、
今年は色々あったけど、いつものM-1が始まったんだ
と安心できたか。

田渕さんの脱線と暴走は
アンタッチャブルの山崎の影響が見えてしまうので
白シャツじゃなくて雰囲気変えた方がよいんじゃないかなぁ。

東京ホテイソン
このツッコミってハマカーンと重なるのですが、
それは大丈夫なのだろうか。
言葉遊びで、実は変なワードになっているという
ネタ
ボケのターンでは笑えない構造なのが惜しいというか

ニューヨーク
爆笑エピソード3連発というハードルを上げたのはドキっとしたというか、
スベらせて全然笑えない、という方向にいくのかと思ったら、
軽犯罪が気になって話が入ってこない、とずらしたのが面白かった。
三つのエピソードが並列になってて、
なんか軸があるとよかったなぁ。
基本的にスカしてるので、M-1では難しいコンビなんですよね。
ボリュームを上げられない。
2人のキャラクターはとても面白いので、
M-1とは違う軸でスターになって欲しいなと。

見取り図
キラーワードを思いつくのが得意なのと、
2018年のマルコ牧師のように、あとから回収するワード
今年はワードだけじゃなく、冒頭で触れた「無意識でしたすみません」という
フリの回収にしたのは進化だと思う。
ニューヨークと同じく、二人ともが面白いコンビですね。

おいでやすこが
歌ネタはM-1では難しいという定説を覆したネタ
歌ネタは歌っている間はある程度聞かないといけないので
ツッコミの数が少なくなるし、
歌ってる人とやりとりができないので、
変な歌とツッコミ、という構図になりやすい。

おいでやすこがは、
その歌ネタの難しさを
秀逸な歌ととにかく強いツッコミで乗り越えた、という。

まず歌が面白いんですよ。
聴いたことあるフレーズと歌詞から、自然に変な曲に繋がっていく気持ち悪さ。
それでいてメロディも秀逸で、編曲自体が結構いい。
つまりは単純に作詞作曲能力と歌唱力があり、それを笑いにできている
これは歌ネタを突き詰めたからこそできる。
マキタスポーツとかもそうですか、
ピンの歌ネタ士だからこその芸。

それをツッコむ声のデカさとキレ具合
床を叩くという演出が発明か。
去年のすゑひろがりずの鼓は別にして
舞台には打楽器持ち込めないのですが、
足を鳴らす分にはアリなのか。

二本目は、歌いながら返事をするということで
歌いながら掛け合いが、
これ一回だけだったんですが、何回も見たかったな。
一曲丸々歌うのではなく、何フレーズに分けて掛け合いしていたら
優勝していたのでは。

マヂカルラブリー
いや笑った。
野田さんのパントマイムが普通に上手くて、
丸太をかついだり、電車が浮き上がったり、
情景が見える。
デーモンを召喚するとことか笑った。
マジカルラブリーの発明は、パントマイムに突っ込むだけで成立させたところ。

ボケが設定に入って一切ツッコミと会話ができなくなるパターンは結構あって、
スーパーマラドーナとかそうですよね。
田中と一人二役の芝居を、別の場所からナレーションツッコミをする。

でも、田中は一人二役の中で会話をするし
パントマイムを取り入れつつも会話で展開させるのですが、

野田さんのパントマイムのうまさと
筋肉と持久力で、喋らなくても成立させてる。

それに、ツッコミの村上さんが上手になってて、
三年前のライオンキングは
村上さんのツッコミが気になっていたんですが、
ほどよく、説明もわかりやすく、ボリュームあげるツッコミもはまっていた。

いまは野田さんのスター性が着目されてますが
村上さんが「じゃない方」でいじられるようになれば
コンビバランスがよくなるのでは。

オズワルド
関東芸人でありながら、きちんとボルテージをあげれるコンビ
発明といえば「〜してんだってねぇー!」と
客席に問いかけるツッコミ。

関東芸人はツッコミワードを発明するのが宿命というか。
そもそも関東にはツッコミ文化がないので、
ネイティブにツッコめない。
三村が「〇〇かよ!」といったり、
サンド伊達が「もういいぜ」といったり、

声張るのはキャラに合わないときは、
オードリー若林みたいに「ですけれども」とか
ナイツ土屋の「違うでしょ」と
静かにツッコむ、

静かなツッコミは賞レースとしては相当不利で、
そこを乗り越えるために
アンタッチャブル柴田がべらんめえ口調のツッコミを開発したりと。
なんとか関東芸人が自然と圧を上げるツッコミを見つけるかは
課題なんですよね。

そこをオズワルド伊藤は
うまくスカしたり、センスワード使いつつも
音量上げたツッコミをしていて素晴らしい。

特に
「知ってたんだってさー」とか
「してんだってねぇー」と
客席に問いかけるツッコミ、
正確にはツッコミではないのですが
ツッコミとして機能する、問いかけツッコミ

これを意識的にやってるのが発明か。

アキナ
面白かったんだけどなぁ
2016年の大人びた5歳児の静かなボケのネタから、
舞台を動いたり声張り上げたりと
取りに来た感じしたんですが、

現場の空気感か。

敗者復活戦はコウテイだったなぁ。
ここにコウテイいたらマジカルラブリーと一騎討ちになっていたような。

今年は
史上最高の年といわれた2019年よりは、
完成度の点では少し見劣りはしていたので

もし和牛がいたら圧勝だったんじゃ、
と思いながら見ていたのですが、

マジカルラブリーをみて、
やはり今年はマジカルラブリーの年だったなぁと、

ファイナルステージで和牛があがってきていても
マジカルラブリーの良さを引き立てて終わったんだろうし。

和牛はテイストを必ず変えるので、
ウェディングプランナーのレベルのネタは
なかなか出てこないだろうし。

和牛のいないM-1は寂しいですが、
私の中の仮想和牛も2位だった、という笑。