【日本文化好きの縁側】141日めスペシャル!!第三回琵琶の回【琵琶の歴史をババっと解説】
今週土曜日夜10時から、クラブハウスイベント
【日本文化好きの縁側】141日めスペシャル!!第三回琵琶の回【琵琶の歴史をババっと解説】のレジュメとなります。
https://www.clubhouse.com/.../%E6%97%A5.../kAuVVr2r/xkrbrK3D
琵琶の起源
ササーン朝ペルシャ時代
バルバットという楽器が先祖だといわれています。
バルバットがシルクロードで東にわたり、中国琵琶・朝鮮半島の琵琶・ベトナムのダン・ティ・バ (弾琵琶)となり、
日本の各種琵琶(楽琵琶・平家琵琶・盲僧琵琶・薩摩琵琶・筑前琵琶)になりました。
ネックからヘッドにかけて曲がっているので、曲頸琵琶(きょっけいびわ)といいます。
他方、正倉院宝物の螺鈿紫檀五絃琵琶はインド由来の楽器であり、
直頸琵琶(ちょっけいびわ)といいます。
日本にわたった琵琶は6種類
・楽琵琶(雅楽の琵琶)
・平家琵琶
・盲僧琵琶
・薩摩琵琶
・筑前琵琶
「ごがへいもさち」と覚えましょう!
楽琵琶
雅楽合奏の琵琶、当時はソロの演奏形態もありました。
宮中音楽であると同時に、貴族の教養
源氏物語では、明石の入道・明石の御方・夕霧・薫などなど
「琵琶こそ、女のしたるに憎きやうなれど、らうらうじきものにはべれ。今の世にまことしう伝へたる人、をさをさはべらずなりにたり。 何の親王、くれの源氏」第二十一帖「乙女」源氏物語
訳:琵琶は、女性が弾くには見にくいようだが、いかにも達者な感じがするものです。今の世に、正しく弾き伝えている人は、めったにいなくなってしまいました。
琵琶の三秘曲(啄木・流泉・揚真操)
源博雅(安倍晴明の友人)・蝉丸(伝説の琵琶法師)・鴨長明・藤原孝道
10世紀終わり頃から盲人の手にわたり、語り形式の琵琶に
平家物語の成立、13世紀の後半に成立
1240年『兵範記』(平信範の日記)の紙背文書に「治承物語六巻号平家候間、書写候也」とあるため、それ以前に成立したと考えられている。延慶2年(1309年)以前には成立していたものと考えられている。
『徒然草』(吉田兼好作)で、信濃前司行長(しなののぜんじ ゆきなが)なる人物が平家物語の作者であり、生仏(しょうぶつ)という盲目の僧に教えて語り手にした、
14世紀中ごろ 明石覚一検校
後の当道座を組織つくる
当道座:中世から近世にかけて日本に存在した男性盲人の自治的互助組織
検校、別当、勾当、座頭の役職あり
更に細分化した73個の位
13世紀から14世紀 鎮魂のためという実用的な側面
14世紀から15世紀にかけて 観賞用
16世紀には古典芸能・儀式音楽としての地位を確立する
16世紀中盤に三味線到来
1673年 小倉藩での諍いを発端とした「座頭諍論」
1674年 官位院号袈裟廃止 →いわゆる三味線禁止令
宗教的な色彩を濃くする
・薩摩琵琶
1492-1568 島津日新斎忠義 薩摩琵琶歌の創始・・・
1795年 橘南渓『西遊記』薩摩大隅には「平家琵琶などよりはちひさ」い琵琶があり、「年若き武士皆琵琶をもてあそぶ」
薩摩琵琶歌の歌本 明治20年代 1887-1897に本格的に始まる
琵琶・撥の大型化
さわりの改良
1871年 明治4年 盲官廃止令
1901年 明治34年 吉水錦翁 錦水会設立 女性にも門戸開放
1909年 明治42年 琵琶新聞第3号 「女性弾奏家に告ぐ」
・筑前琵琶
明治の中期
盲僧頭 妙福
子 橘旭翁(本名:橘智定(たちばなちてい)が薩摩で薩摩琵琶を研究して帰り、
筑前盲僧琵琶を改良、新しい琵琶音楽として作り出された。
吉田竹子が上京して広める
琵琶ブームの陰り
1919年 大正8年 橘旭翁没
1923年 大正12年 吉田竹子没
1926年 大正15年 錦琵琶 発表
1927年 昭和2年 永田錦心没
邦楽界の取り組み
「日本音楽」という呼称の提案(民俗音楽学者 草野妙子)
戦前
・新日本音楽
大正中頃から昭和初期にかけての音楽運動
大正9年(1920年)宮城道雄・吉田晴風・本居長与とともに
「新日本音楽演奏会」
筑前琵琶 橘旭翁三世(1902 - 1971)
舞踊曲としての琵琶合奏曲を作曲したり,洋楽的な面も取入れるなど新しい試みを行なった。
戦後
・西洋音楽の作曲家による取り組み
・現代邦楽
邦楽演奏家による取り組み
中能島欣一・杵屋正邦・唯是震一・山本邦山・沢井忠夫ら
1951年 電気応用琵琶(エレキ琵琶) 開発 1963年発表 鶴田錦史
1967年 琵琶と尺八とオーケストラ 『ノベンバーステップス』
1973年 琵琶、尺八、オーケストラのための『秋』
1980年頃か:邦楽器によるコンポジション『ふくろう』
作曲:山川直春 筑前琵琶:山田美喜子
1982年 映画『ブレードランナー』琵琶 半田淳子
2012年 ハラキリ乙女~琵琶とオーケストラのための(Harakiri Maiden)
琵琶:西原鶴真 / 作曲:山根明季子 / 指揮:大井剛史 / 管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団
2020年 『GHOST OF TSUSHIMA』プレイステーションゲーム サウンドトラック
邦楽ニューウェーブ 1990年前後
能管:一噌幸弘
三味線:THE家元
民謡:伊藤多喜雄
トンコリ:OKI
邦楽ニューウェーブ 2000年前後
筝 森川浩恵
琵琶 坂田美子
雅楽 伶楽社
尺八 藤原道山
Rin'(箏、十七絃、琵琶、三絃、尺八)2004年
ZAN(箏、尺八、篠笛、民謡)2004年
和楽器バンド 2013年
LEO(筝)2017年
楽器の改良
筝
三木稔・野坂恵子 二十絃総(1969年)
かねこ琴三絃楽器店 ハイブリッド筝(2021年)
三味線
咸絃(エレキ三味線、1931年)
三味線かとう 夢絃21(エレキ津軽三味線 1990年)
エレキ三線(丸高ミュージック 1990年頃か)
尺八
地塗り尺八の一般化
七孔尺八・九孔尺八
大倉喜七郎 オークラウロ
泉州尺八工房 メタル尺八 AireedX
尺八月泉組(中国の尺八メーカー) メタル尺八
悠・なる八君
新楽器
森田伍郎 大正琴
OK:
絹糸の採用
糸口を金属化
エレキトンコリ
琵琶
・筑前琵琶
五絃琵琶の開発
小絃・大絃の開発
・鶴田錦史
大型化・音量の増大
腹板を薄くする
撥を薄くする
摺り、ピチカート奏法
オクターブピッチの改良のための「菊水」 型 →のちに糸口の改良
発売日 2005年04月06日 規格品番 KICW-2501
レーベル SEVEN SEAS SKU 4988003308612
鶴田錦史 岩佐鶴丈 田中鶴旺 斎藤鶴竜
一柱の操作性の改良のため糸口を広くとる
電気応用琵琶(1951年)
塩高和之
柱の台形化(2000年頃)
糸巻の配置の改良
立奏式琵琶ストラップ開発(2001年)
宇多田ヒカルさんと琵琶
宇多田ヒカルのファンなんですよ。
それこそ「Automatic」でチャートを上げていくところの衝撃から、 紀里谷和明監督のPVの絶頂期だったり、
結婚してセールス的には落ち着いたり、
チャレンジングなメロディラインの頃も含め。
それで、彼女は日本の古典文学も愛読書にしてて、 「traveling」では、
若さ故にすぐにチラリ、
風の前の塵に同じ という平家物語のフレーズまで。
そして、『Sakuraドロップス』では
プロモーションビデオで薩摩琵琶が映ってて、 あれはどなたが担当されたんだろうと、 20年来の謎だったのですが、
昨日のクラブハウスでの琵琶談義の集まりで、 いま一緒に動画作らせて頂いている演奏家さんだったという。
羨ましすぎる。
あの頃のヒッキーなんて無敵じゃないですか、 今でも素敵ですが、
ほんの間近で会えたらしく。 いや、羨ましい。
なんだか事務所の人からは
「貴方から話しかけず、仮に宇多田さんから話しかけられても返事だけで済ませること」と厳命されていたそうな。
まぁ、そうですよね。
これからでも頑張ってればそんな僥倖があるのか、 とりあえずは練習しよ。
電気応用琵琶(エレキ琵琶) 昭和38年 鶴田錦史
【琵琶って何だろう】琵琶がわかると鬼滅の刃がもっと面白くなる!琵琶楽についてのざっくり解説!
薩摩琵琶や筑前琵琶の近代琵琶が
どうして九州地方で花開いたのか。
そんな琵琶仲間の質問に答える解説動画を作ろうと思っていたら、
そういえば『鬼滅の刃』の鳴女に絡めた方が一般の方にも楽しんでもらえるかな、と
見ればわかりますが、中田敦彦さんのYouTube大学を思いっきり真似て作りました。
これでわかったのが中田敦彦さんの凄さ。
素人が真似するので、噛むし止まるし、
でも、自分が一番好きなワンテーマなら
誰でも中田さんの講座一回分はしゃべれる、、、のですね笑。
動画を撮るにあたって、アウトプットを意識したので、
改めて勉強しなおして、なかなか貴重な経験でした。
そして、ざっくり解説といいながら
参考文献を、明治時代の新聞読み込んだり、学生さんの修士論文読んだりした結果
2時間超える原稿に、
そこからハッと気づいて、
削りに削って、それでもトータル80分になってしまいました。
できるだけライブ感を大事にしようと、
ぶつ切りに撮りなおさなかったので、言い間違えたり、
変な日本語使っているときもありますが、どうかご容赦ください。
島津日新斉(じっしんさい)忠良公、「にっしんさい」と読んですみません。
敬称も本来は歴史上の人物なので敬称略でよいのですが(信長・秀吉など)、
明治以降の琵琶レジェンドが畏れ多すぎて途中から「さん」「先生」と読んでます。
(それもランダムですみません)
「鬼滅の刃」も撮影前に読み直すと、何週もしてしまうトラップが笑、
いや、本当に素晴らしい作品だ。
ジョジョへのリスペクトも感じられて。
五峠呼世晴先生、ありがとうございました。
以下
参考文献です。
① 漫画『鬼滅の刃』全巻漫画
作者 吾峠呼世晴
出版社 集英社
発表期間 2016年2月15日 - 2020年5月18日
素晴らしい作品をありがとうございます。
②『日本の伝統芸能講座―音楽』
第6章「平家」P,152-159
第17章「琵琶楽の流れ 薩摩琵琶、筑前琵琶、現代へ」P.414~432
著 薦田治子(武蔵野音楽大学)
平成20年3月
小島美子監修
企画・編集 独立行政法人日本芸術文化振興会・国立劇場調査養成部
解説の基礎と致しました。
③『日本琵琶楽大系』CD復刻版・解説書(P.20〜23)
平成22年9月
財団法人日本伝統文化振興財団、監修・解説=日本琵琶楽協会
著 田辺尚雄
従来説の参考と致しました。
④『さわり』
著者 佐宮 圭、発行者 森万紀子
発行 株式会社小学館
大正時代・昭和時代の琵琶楽の活気など参考とさせて頂きました。
⑤『日本盲人社会史研究』
1974年
著者 加藤康昭
三味線禁止令に至る「座頭争論」の経緯・盲人史など
④「女性弾奏家に告ぐ」
『琵琶新聞』第3号第1面
編集発行 琵琶新聞社
発行人 編集主幹 椎橋松亭
1909年4月
⑤女流琵琶奏者の人気投票
『水聲』19号72頁 投票券
『水聲』24号34頁 結果発表
編集発行 琵琶新聞社水聲発行部
発行人編集主幹 椎橋松亭
⑥研究成果報告書『近代琵琶楽の成立と展開-基礎資料の収集ー』
平成26年3月31日
発行 薦田治子(武蔵野音楽大学)
⑦『盲僧による琵琶付法要の構成と音楽』
平成25年
著 星野和幸
武蔵野音楽大学大学院 博士論文
⑧『座頭(盲僧)琵琶の語り物伝承についての研究(三)ー文字テクストの成立と語りの変質ー』
成城国文学論集 (26), 101-207, 1999-03
兵頭裕己
⑨『鬼滅の刃をもっと楽しむための大正時代便覧』
2020年4月
著者 大正はいから同人会
発行者 廣瀬和二
発行書 辰巳出版株式会社
この本の鳴女の項目をみて、この企画を思いつきました。
従来説の基準で書いていますが、
琵琶楽についてよく調べて頂いたと思っています。
半天狗の項目は、ほぼそのまま話させて頂いてます笑。
⑩『日本近代琵琶の盛衰に関する考察ー遊芸と「いき」の視点から―』
著者 王維
香川大学経済論業 第82巻 第1・2号抜刷 2009年9月
マヂカルラブリーの漫才論争について
漫才か漫才じゃないか論争に
私もコメントせざるを得ないのですが(全く「せざるをえなく」ないのですが笑)
この〇〇じゃないかどうかの議論の
基本的なアプローチは、
定義を理由付けをして定め
それに該当するか、という手法を使うのですが、
ちょっとそのアプローチじゃなく、
ド漫才から、明らかに漫才じゃないところのグラデーションの中で、
マヂカルラブリーのネタがどの位置になるかを
という観点から。
まず、
疑いようもなく漫才なのは
1.しゃべくり漫才
コントの設定に一切入らずに、
その漫才師の人格のまま、時系列もいじらずに、
そのまま話すネタ、
過去の決勝ネタだと、
ブラックマヨネーズや銀シャリですか、
今年だと見取り図、オズワルド、
あと昨年のかまいたちも。
これは明らかな漫才。
2.
次に、片方だけがコントに入って、
ツッコミだけは漫才師のママのネタ。
代表的なのはスーパーマラドーナですか、
田中さんが設定に入ると、武智さんの声は一切聞こえなくなる、
3.次に、
双方ともコントに入ったり、地の文に戻る漫才、
これが割と一番多いですかね。
多過ぎて挙げるのが難しいですが、
とろサーモンとか、
そして、
4.双方ともコントに入りっぱなしで、
冒頭と、締め以外が全部設定
これの代表がサンドイッチマン
「世の中興奮することってありますが」
と冒頭を無理矢理付けて(しかも、対して興奮はしないという笑)
設定に入り続ける。
アンタッチャブルもですね。
関東芸人はしゃべくりでは不利なので、
圧をあげられる手法として良く使われる。
(と、塙さんが解説してました笑)
更に、
5.双方ともコントに入りっぱなしで、
人格も設定に入る(自分ではない)
これが和牛ですか、
和牛はコントに入るし、
コントに入ったときは川西さんでないことが多い。
これが和牛の真骨頂で、
役の中にいながら、役の中の声でツッコむことができる。
ボケが設定に入って、ツッコミは本人ママは多いですが、
ツッコミが役なのが和牛。
ただ、本人の心の叫びではない感じがする、
ところは
逆に巨人師匠や中川家礼司からはマイナスポイントになっている、という。
(それも一つのトレンドなだけで、本来的には等価だと思いますが)
更にギリギリになると、
冒頭と締め以外が、コントでもなく、
始終ことば遊びなのが、
2018年ジャルジャルのピンポンパン、
とまぁ。このグラデーションですか。
そんな中、
議論となっているマジカルラブリーの二本目はどこかというと、
2. 片方だけがコントに入って、
ツッコミだけは漫才師のママのネタ。
野田さんが電車の中で設定に入っていても、
村上さんは漫才師のママで
お客さんと同じ目線でツッコミをしている。
野田さんが村上さんと掛け合わないのも、
設定に入ってるからだし、
話さないのは、揺れる電車にいるという必然性もある。
というわけで、
マジカルラブリーの二本目は
思いっきり漫才だ、という話ですね。
私見では、
本当に漫才の定義をギリギリをせめたのは、
すゑひろがりずさんで、
漫才で楽器持ってくのは、
従来の観念だと百歩譲ってギターがギリギリ、の中で小鼓
コント衣装も着てはいけないという価値観ありますが、
紋付、
これエクスキュースは、日本の正装で
スーツと等価だからアリだったのでしょうか笑。
まぁ、琵琶弾きとしても、紋付は正装であって
時代劇コントではないので、
現代曲を紋付で弾くことは全く問題ないんですが。
いずれにせよ、
「あれは〇〇ではない」と言われて議論が起きることって
最高にカッコいいことなので、
さて、私も言われるように新しいことに挑戦せねば。
M-1 2020
今年のM-1、
コロナもあったからか、
2019年ほどの粒ぞろいではなかったんですが、
それでも面白かった。
既存のフォーマットの巧者であることも素晴らしいですが、
どんな発明がされたか、それを評価したいなと。
インディアンス
噛んだのが実はネタだった、というくだり
それ自体はよくあるのですが
そこを発展させて連発にしたのがポイントか。
インディアンスが1組目だったので、
今年は色々あったけど、いつものM-1が始まったんだ
と安心できたか。
田渕さんの脱線と暴走は
アンタッチャブルの山崎の影響が見えてしまうので
白シャツじゃなくて雰囲気変えた方がよいんじゃないかなぁ。
東京ホテイソン
このツッコミってハマカーンと重なるのですが、
それは大丈夫なのだろうか。
言葉遊びで、実は変なワードになっているという
ネタ
ボケのターンでは笑えない構造なのが惜しいというか
ニューヨーク
爆笑エピソード3連発というハードルを上げたのはドキっとしたというか、
スベらせて全然笑えない、という方向にいくのかと思ったら、
軽犯罪が気になって話が入ってこない、とずらしたのが面白かった。
三つのエピソードが並列になってて、
なんか軸があるとよかったなぁ。
基本的にスカしてるので、M-1では難しいコンビなんですよね。
ボリュームを上げられない。
2人のキャラクターはとても面白いので、
M-1とは違う軸でスターになって欲しいなと。
見取り図
キラーワードを思いつくのが得意なのと、
2018年のマルコ牧師のように、あとから回収するワード
今年はワードだけじゃなく、冒頭で触れた「無意識でしたすみません」という
フリの回収にしたのは進化だと思う。
ニューヨークと同じく、二人ともが面白いコンビですね。
おいでやすこが
歌ネタはM-1では難しいという定説を覆したネタ
歌ネタは歌っている間はある程度聞かないといけないので
ツッコミの数が少なくなるし、
歌ってる人とやりとりができないので、
変な歌とツッコミ、という構図になりやすい。
おいでやすこがは、
その歌ネタの難しさを
秀逸な歌ととにかく強いツッコミで乗り越えた、という。
まず歌が面白いんですよ。
聴いたことあるフレーズと歌詞から、自然に変な曲に繋がっていく気持ち悪さ。
それでいてメロディも秀逸で、編曲自体が結構いい。
つまりは単純に作詞作曲能力と歌唱力があり、それを笑いにできている
これは歌ネタを突き詰めたからこそできる。
マキタスポーツとかもそうですか、
ピンの歌ネタ士だからこその芸。
それをツッコむ声のデカさとキレ具合
床を叩くという演出が発明か。
去年のすゑひろがりずの鼓は別にして
舞台には打楽器持ち込めないのですが、
足を鳴らす分にはアリなのか。
二本目は、歌いながら返事をするということで
歌いながら掛け合いが、
これ一回だけだったんですが、何回も見たかったな。
一曲丸々歌うのではなく、何フレーズに分けて掛け合いしていたら
優勝していたのでは。
マヂカルラブリー
いや笑った。
野田さんのパントマイムが普通に上手くて、
丸太をかついだり、電車が浮き上がったり、
情景が見える。
デーモンを召喚するとことか笑った。
マジカルラブリーの発明は、パントマイムに突っ込むだけで成立させたところ。
ボケが設定に入って一切ツッコミと会話ができなくなるパターンは結構あって、
スーパーマラドーナとかそうですよね。
田中と一人二役の芝居を、別の場所からナレーションツッコミをする。
でも、田中は一人二役の中で会話をするし
パントマイムを取り入れつつも会話で展開させるのですが、
野田さんのパントマイムのうまさと
筋肉と持久力で、喋らなくても成立させてる。
それに、ツッコミの村上さんが上手になってて、
三年前のライオンキングは
村上さんのツッコミが気になっていたんですが、
ほどよく、説明もわかりやすく、ボリュームあげるツッコミもはまっていた。
いまは野田さんのスター性が着目されてますが
村上さんが「じゃない方」でいじられるようになれば
コンビバランスがよくなるのでは。
オズワルド
関東芸人でありながら、きちんとボルテージをあげれるコンビ
発明といえば「〜してんだってねぇー!」と
客席に問いかけるツッコミ。
関東芸人はツッコミワードを発明するのが宿命というか。
そもそも関東にはツッコミ文化がないので、
ネイティブにツッコめない。
三村が「〇〇かよ!」といったり、
サンド伊達が「もういいぜ」といったり、
声張るのはキャラに合わないときは、
オードリー若林みたいに「ですけれども」とか
ナイツ土屋の「違うでしょ」と
静かにツッコむ、
静かなツッコミは賞レースとしては相当不利で、
そこを乗り越えるために
アンタッチャブル柴田がべらんめえ口調のツッコミを開発したりと。
なんとか関東芸人が自然と圧を上げるツッコミを見つけるかは
課題なんですよね。
そこをオズワルド伊藤は
うまくスカしたり、センスワード使いつつも
音量上げたツッコミをしていて素晴らしい。
特に
「知ってたんだってさー」とか
「してんだってねぇー」と
客席に問いかけるツッコミ、
正確にはツッコミではないのですが
ツッコミとして機能する、問いかけツッコミ
これを意識的にやってるのが発明か。
アキナ
面白かったんだけどなぁ
2016年の大人びた5歳児の静かなボケのネタから、
舞台を動いたり声張り上げたりと
取りに来た感じしたんですが、
現場の空気感か。
敗者復活戦はコウテイだったなぁ。
ここにコウテイいたらマジカルラブリーと一騎討ちになっていたような。
今年は
史上最高の年といわれた2019年よりは、
完成度の点では少し見劣りはしていたので
もし和牛がいたら圧勝だったんじゃ、
と思いながら見ていたのですが、
マジカルラブリーをみて、
やはり今年はマジカルラブリーの年だったなぁと、
ファイナルステージで和牛があがってきていても
マジカルラブリーの良さを引き立てて終わったんだろうし。
和牛はテイストを必ず変えるので、
ウェディングプランナーのレベルのネタは
なかなか出てこないだろうし。
和牛のいないM-1は寂しいですが、
私の中の仮想和牛も2位だった、という笑。
電気応用琵琶(エレキ琵琶)による『春の宴』
電気応用琵琶(エレキ琵琶) 1963年
邦楽器をエレキ化する、
というと、なんというか割と色モノ的なニュアンスが出てくるんです。
それは、
エレキギターの安易な模倣であったり、
西洋音楽を取り入れるのではなく、取り入れられる、
という目線でしょうか。
が、
実は違う、というお話。
邦楽器の電気的なアプローチの歴史は古く、
長唄三味線では四世杵屋佐吉さんが1931年に電気三味線「咸弦(かんげん)」を発表している。
1931年はジョージビーチャムがハワイアンのエレキギターの原型を発表した年。
奇しくもエレキギター元年と同じ時代から
日本音楽も電気化の試行がされていたのです。
いいかえれば、
当時、世界中の弦楽器奏者が
音量の増大化と、その手段としてのエレキ化に取り組んでおり、
西ではエレキギターが、
東では咸弦が、エレキ元年を迎えていた、
ともいえますね。
これでよく私がイメージするのが
江戸時代の数学者関孝和が
西洋の文脈とは別に微積分を発見したことです。
そんな邦楽器のエレキ化ですが、
琵琶界での試みは咸弦から遅れること20年、
1951年に鶴田錦史先生が琵琶にコンタクトマイクを内蔵する
「電気応用琵琶」が開発します。
(鶴田先生は琵琶用のコンタクトマイク自体を開発して特許をとったというのだから凄みが違うのですが)
その後1963年には
オーケストラ編成の中に音量を増幅した琵琶を乗せて
『電気応用琵琶による〜春の宴〜』を発表、
当時キャパ300人の銀座ガスホールを満席にして
華やかな文化人も観客に並んだというのですから、
当時の琵琶界の煌びやかさが目に浮かびます。
鶴田先生はその後武満徹と出会い、
映画音楽やオーケストラとの合奏というアプローチに切り替わり、
電気化の試行は止まってしまったのですが、
多分エレキ琵琶に相当力を入れていたんではないか、と。
(武満先生との出会いも素晴らしいものです)
いまとなっては、
津軽三味線ではピエゾとコンデンサーを内蔵した「夢絃」はステージでは標準装備ですし、
箏もいくつかの箏メーカーがエレアコの取り組んでいて、
もはや邦楽器のエレキ化は一般的ともいえますが。
そんな1963年発表の
『電気応用琵琶による〜春の宴〜』
まさか音源は残ってないのでは、と思っていたのですが
なんとカセットテープ音源で師匠が持っていたので
お借りする。
おそらくこのカセットが唯一の音源だという。
貴重すぎる。
この音源、
許可頂いたのでいつかアップしたいのですが、
これを聴くだに、
やはり鶴田先生が夢をみていたエレキ琵琶を
形にしたいな、と。