琵琶 双山敦郎 晴耕雨琵

琵琶プレーヤー双山敦郎のブログ

琵琶の楽譜のネット販売

f:id:tegeist:20220414171623j:image

 

楽譜を買うとなると楽器店で買ったり、雑誌についてきたりしましたが、
最近ではネット販売サイトで買う方も多いと思います。

そこで、「琵琶でポップス」運動の一環として、
琵琶の楽譜もネット販売サイトで販売しようじゃないか、と思いまして、
私なりにフローをまとめてみました。

 

1 曲を決める。
当たり前ですがまずはココですね。
オリジナル曲であれば問題ないのですが、カバー曲ですといろいろと決める要素がありす。 


(1)音域が収まるか
琵琶は通常の調弦だと2オクターブと少し、工夫しても2オクターブ半ぐらいでしょうか、
原則として、その音域に収まる曲となります。


(2)運指、指が届くか
締めを多用すると速弾きが難しかったり、
実際に弾いてみると指が届かないということもあります。
特に悩ましいのがⅣの音、3本本調子(AEAE)だとFですね。
ポップスではよく出てくる音ですが琵琶だと半締めになるため、なかなかの鬼門になります。


(3)コード音も鳴らしたいよね
メロディ単音で弾いても練習になりますし楽しいのですが、
できればベース音も鳴らしたり、トレモロや8の字でダイナミックにならしたいですよね。
となると、コード進行でもうまくハマらないかを考えます。


(4)著作権
ここも大事です。
楽譜を完成しても、出版社や作曲者から許諾を得られずに販売できない、ということもあります。
だからといって、こっそり販売しようとしても、まずは販売サイトで登録ができなくなりますし、
著作権法違反は懲役と罰金が待っております。

 

そんなときは以下の方法


パブリックドメインの曲を使う
ざっくりいうと、古い曲ですね。
著作権の保護期間は国によって違ったり、制度変更があったり、戦争の時期の加算があったりといろいろと複雑ですが、
亡くなってから70年というのが目安です。

ただ、クラシックの古い曲だよなー、という感覚でも
作曲家が長生きだったり、実は20世紀の作曲家だったりするとパブリックドメインではありません。
ハチャトゥリアンの「剣の舞」も
ルロイ・アンダーソンの「トランペット吹きの休日」も、まだ切れていません。
また、曲が著作権が切れていても、編曲家が長生きだったり、詩は残っていたりと複雑なので、きちんと調べましょう。

 

ジブリとディズニーを選ぶ
これはですね、Piascoreさんが許諾の代行申請してくれるので楽だ
ということです。
ジャニーズの楽曲も代行してくれるみたいです。
そんなものですから、私が販売しているのは
パブリックドメインであるバッハのト長調メヌエットと、ジブリ魔女の宅急便のテーマです。

f:id:tegeist:20220414175237j:image

このように、ジブリ作品は許諾代行申請してくれます。

 

 

・ちゃんと楽譜出版社や著作権者と連絡をとって許諾を得る。
これも、きちんと手間をかければ通常は許可してくれる、はずです笑。
すいません、次やってみます。

 

(5)テンションがあがるか
ここも大きいですよね。
売れるか、とか著作権の許諾がとれるか、よりも、自分が好きでテンションがあがらないと楽しくないので、
思い入れのある曲がよいと思います。

 

2、移調やアレンジ
次の作業が、曲が決まったので実際に琵琶で弾いてみよう、ということです。
琵琶の場合には調弦がさほど自由ではないので、ある程度キーを変更することが多いです。
ト長調メヌエット」も、3本本調子で弾くために「ハ長調メヌエット」にしましたし、
「海の見える街」も、EマイナーからAマイナーに移調しています。
あとは、難しいパートを簡単にしたり、音を減らしたり増やしたり、
これも多くやりすぎると編曲権・同一性保持権と抵触したりと、許諾を得られない可能性もありますからご注意を。
Piascoreでも久石譲作品は過度なアレンジはお控えください、と書いてあります。

あと、琵琶っぽい。
締めや腹板を打つ音、スリなどの効果音もどこに入れるか、
と考えるのもココですね。楽しい作業です。 

 

3 ソフトを使って楽譜作成
ここから手書きで楽譜を作るという方は、ここは飛ばして頂くのですが、
他の楽譜のように、ソフトで作った楽譜で作りたいときは割とココがネックです。

(1)どんな譜面にするか
昔ながらの縦書きの琵琶譜もありますが、ポップス曲で販売するとなるとおそらくTAB譜、
絃の押さえるポジションが記載した楽譜、ギターやベースで使うものがわかりやすいと思います。

このタブ譜、ギターのタブ譜でもありますが、

タブ譜のみで音価(音の長さやリズム)がわかるように書くこともできなくはないのでしょうが。
タブ譜からでは音の長さや音高が分かりにくいと思います。

そこで、私は五線譜とタブ譜の2段書きにしています。

バンドスコアのギターやベースの楽譜も多くはこのスタイルですね。

 

(2)音楽ソフトは何にするか
ここで楽譜作成ソフトを使いますが、
DTMの打ち込みソフトについてくる楽譜作成機能を使うことや、FINALEなどの楽譜作成ソフトを使う場合もあります。私はDAWの定番、Logicを使っています。


ただ、LOGICでタブ譜を使うときのネックが、

音楽ソフトに琵琶チューニングは装丁されていない、ということ。

3本の本調子では、4絃の3柱はAで、4柱はBですが、

ギターのタブ譜では半音でフレット数があがるので、五線譜とズレるわけです。


そして、LOGICの機能で、メロディを基準に、ギターのフレット番号を勝手に割り振ってしまうのです。

そこで、五線譜の楽譜と、何も音符のないTAB譜を用意することにしました。

 

(3)五線譜パートの打ち込み
これは割と楽で、カバーに選びたい楽譜なら
楽譜販売サイトにあるので、印刷して手入力すればよいですし、
MIDIデータを買って、そのままインポートするのも楽です。
「海の見える街」もMIDIデータを200円で買って、ドラッグで移調してと、5分で作業が終わりました。
注意としては、MIDIは聴く用にできているので、例えばスタッカートの8分音符が32分音符で打ち込まれていたりします。
それをドラッグで音符用に変えるのはひと手間かかりますが、それでも最初から入力するより楽です。

 

(4)琵琶譜は画像編集ソフトで作る。
じゃぁ琵琶譜の部分はどうするのか、というと
もう結局はコレしかないのだと思います。
五線譜が入力された楽譜をPDFにして画像編集ソフトで読み込んで、
琵琶のタブ譜の部分に数字と記号を入れていきます。

スタッカート「・」や△▲などの記号は、文字テキストの変換から使い、

数字は直接楽譜上の絃の上に入力していく。

まぁまぁ面倒くさい手作業です。


コレの前提として、全休符を消すのが地味に面倒くさい。
当然ながら音のない空のパートなので、すべての小節に全休符がある。
しかしタブ譜を載せていくとなると邪魔だ。
というわけで、全休符を白い長方形を上に乗せて消すのです。
Finaleだと確か全休符の表示を消せるかもですが。

 

(5)琵琶の特殊記号を作成。
琵琶には上から降ろす打絃(通常打絃)とスクイ、絃を切るように弾いたり、腹板を軽くたたいたり、
打ち撥や締めなど、いくつもの奏法があります。
これも他の西洋楽譜の記号から転用したり、自分で作ったりしないといけません。


私は
Hハンマリング:打絃せず、絃を指で押さえて音を鳴らす 口琵琶だと「ん」 
Pプリンぐ:打絃せず、指ではじいて音を鳴らす 「りん」
Sスライド:駒を移動することで音を鳴らす 「うん」
などのギターの奏法の記号を借りたり、
「ス」撥で腹板をかるく打つ、などの琵琶譜の表記をそのまま使ったりしています。

また、指使いも、△が人差し指、▲が薬指・中指という琵琶譜の書き方を参考にしつつ、
ポップスだと小指のみで押さえたり、薬指のみで押さえたりするときは
「小」や「薬」と入れることにしました。

 

ピアノのように指番号を入れてもよいのですが、TAB譜のフレット番号と混ざってわかりにくいので。

 

4 楽譜販売サイトに登録
楽譜が完成したら、楽譜販売サイトにいって、
販売者用のログイン画面にいき新規登録をして進みます。
これはあまり難しくはないです。
パブリックドメインならその旨を、ジャスラック曲なら登録番号をジャスラックのサイトで検索して入れます。
このときにジブリ作品なら勝手に許諾代行してくれるのですが、
他のものは各自が出版社に問い合わせて、許諾証明を添付してアップロードが必要となります。
あとは値段を決める、高すぎもせず、安すぎもせず、ちょうどいい塩梅で。

 

もっとも、
琵琶でポップスを弾きたい方で、おそらく五線譜もある程度読める方に絞られて、
更にいえば、そんな方は大体が楽譜を見ずとも弾けてしまうんじゃ、、、ということなので、
潜在的顧客の数とか、労力とか、利益とかきちんと考えると・・・なのですが笑。

 

これも琵琶の普及のためでしょうか。


私は150円で販売していますので、是非ともお気軽にお買い求めください。
振込手数料と販売手数料を越えた売上にならないと私の口座に入金がありません笑。

 

ちなみに、楽譜が登録されてネットで見られるようになると、

あの、ヨハンセバスチャンバッハと並んで編曲者で載ったり、

「作曲 久石譲、編曲 双山敦郎」の表記が嬉しい。

親交ある風じゃないですか笑。

「あー、久石さんなら去年彼の曲アレンジしたことがあってね」などと言えます(嘘ではない笑)。

 

5 みんなに広める
最後はココですね。完成したら色んな人に広めること。
買ってくれる人につながるかもしれません。
実は、この販売サイトのメリットは他にもありまして、
「堂々と楽譜を配布できる」ということになります。
たとえばポップス曲、紅蓮華でも白日でも香水でも、
何人か集まって弾こう、と思っても楽譜は配れないのです。
「え?自分で耳コピで採譜しただけだし、仲間内だけだよ?」といってもNGです。

たとえば、吹奏楽部で課題曲があったときに、一冊だけ楽譜買って部員でコピーしたくなりますが、
あれは原則としてダメで、人数分買わないといけないのです。


それは耳コピであっても同じく。

 

ところが、piascoreに登録して、値段をすっごい安くしておくと、
それを各自ダウンロードしてプリントしてね、というと
堂々と著作権をクリアしてみんなが楽譜を持てることになります。
150円のうち数十円は久石譲さんにも支払われますし、きちんとすることの「気持ちよさ」と「すがすがしさ」を体感できます。


そんなこんなで、
琵琶でポップス活動、ポ活ですね。琵ポ活ですか。
そのためにも、皆さんもぜひとも楽譜を作ってドシドシ登録しちゃいましょうぜ。

 

もっと詳しいやり方を知りたい方はお問合せくださいませ。